大人から小学生を見ると「まだまだ人生始まったばかり、可能性がたくさんあって良いな」と思えるが、得意なことでももっと上手な子がいたり、試合で負けたりすると現実的にならざるをえないのだろうか。考えることが得意な子ほど、大人に近い、現実的なものの見方をして、自分のできることの範囲内で得意なこと、正解に近いことをくり返しがちだなと感じるようになった。
得意なこと、できることを大人に見せると喜ぶし、友達からも失敗を責められない、自分も気分が良くなるからそれは仕方がないことだとも思うが、「成長」という観点で見ると、不安も感じる。今「できることを披露」するのではなく、後で「できるようになるために失敗する」ことの方が、小学生時代は大切なのではないだろうか。
そんなことを考えていたら、ノースウェスタン大学での「失敗と成功」に関する研究が目にとまった。2つの記事がその研究を取り上げていた。邦題は「失敗は成功のための必須条件」、「キャリア初期に失敗することの意外なメリット」。
どちらも恐らく同じ研究だと思うが、約50年間、77万件に及ぶ、研究助成金の申請と獲得の関係を調べたもので、「挑戦」と「失敗」「成功」のデータとも言える。子どもたちにも当てはまる失敗と成功の関係が3つあったので、子どもたちに紹介している。
「失敗と挑戦の間隔は短い方が成功につながる」
挑戦して失敗してしまったら、しばらく放っておくより、すぐ次の挑戦に向かった方が良いそうだ。これは考えてみたら納得がいく。失敗して時間が経つにつれ、細かい部分は頭から抜け落ちていくだろう。結果について深く考えるのは失敗してすぐが良さそうだ。
「なんでも変えるのではなく、失敗の要因を特定し、そこだけ変える」
失敗してから成功に導くのは、何度もやり直す忍耐強さではないそうだ。失敗した人も成功した人も挑戦する回数自体に差は無く、失敗する要因を特定し、集中してそこを改善する方が大切。
「初期の失敗は後の成功につながる」
助成金をキャリアの初期に獲得したした人(成功グループ)、惜しくも逃してしまった人(失敗グループ)で、その後の5年間を調査すると、失敗グループの方が、ヒット論文を出す確率が高かったそうだ。今のサッカー日本代表も、小中学生からエリートコースのみを歩んできた選手は少数だろう。「成功」すると「良かった!」という満足感は得られるし、そのままで良いという印にもなる。「失敗」すると、現状から何かを変えないといけないからもっと良くなる方法を考えざるをえない。
持っている最大限の力を発揮して成功することも大切だが、小学生時代は実力以上のことに挑戦してたくさん失敗し、どんどん成長していって欲しい。