「その人を知りたければその人が何に対して怒りを感じるかを知れ」
有名なマンガのセリフなのだが、子どもたちと接するようになり、思い出すことが多い。特に低学年だが、子どもは良くケンカをする、怒る。そして子どもたちがケンカをしているとどちらかが寄ってくる、もしくはこっちを見てくる。その場にいる唯一の大人なので、言えば解決してくれると思っているみたいだ。
「あんなことをしてきた(言ってきた)!」と一生懸命自分に説明しようとするが、怪我の心配が無い時は、大人が良い悪いを決めて子どもに従わせるというのも違うなと思い、当事者同士で話をして解決するように伝える。最初は肩透かしを食らったような顔をしていたが、最近は「こういうことが嫌だった。」など必死に「なぜ怒ったのか」を伝えようとしている。
怒りという感情がなぜ生まれたかを理解するのは、大人でも難しいことだと思う。感情の方が理論より先に来るので、感情をさかのぼって、「なぜか」を説明するのは大変だ。マーケティングでも消費者インタビューをする時に、ある「行動」や「感情」が「なぜ起きたか」をさかのぼって説明してもらうことがある。
インタビューをやってみると人間の本当の気持ちはすぐ表現できないのが良く分かる。それっぽい理由を始めの方で言ってくれることはあるが、その理由がなぜ生まれたかを「なぜ?」と問いかけていくと、本当の理由は別のところにあったりする。
「怒り」は人間の感情の中でも、かなり強い表現方法だ。できればあまり頻繁に触れたくはない感情だろう。ただ冒頭のセリフのように、その人の内面を理解するのには、とても重要な感情だと思う。色々な子どもたちの、色々な怒りに触れても、「怒っていること」だけを見るのではなく、内面を知るチャンスだととらえて接していきたい。そして子どもたちも、友達の怒りに触れた時は、友達のことを知るチャンスだと考えられるようになってくれたら嬉しい。