スプリント種目の世界大会で日本人初のメダリスト為末大さんは、著書『Winning Alone』でその集団で使われている「言葉」を観察すれば、強いチームと弱いチームの違いが見えると言っている。
走り方を表現するときに「うまく足腰が使えなかった」という人と「大腿四頭筋ではなく、ハムストリングの上部が使えなかった」という人では、トレーニングで意識する場所が違うとある。言葉の粒度が意識の差に繋がり、その意識の差が、強いチームと弱いチームの差を広げていく。
この「言葉の違い」「意識の差」は陸上やスポーツだけでなく、色々な場面で参考になりそうだ。言葉の粒度はその人が「どれだけ具体的に物事を見ようとしているか」で変わってくると思う。足腰から大腿四頭筋やハムストリングへ、どんどんと視点を具体的にしていくほど、なりたい姿に近づいていく。
2020年第一生命保険「大人になったらなりたいもの」調査で男子は「会社員」が1位、「YouTuber」が2位、女子は「パティシエ」が1位で「教師」が2位。他にもサッカー選手でも漫画家でも、なんでも、こども達の「なりたい姿」が出てきた時に、どうすればその姿に近づけるか、具体的に何をしていけばその姿に近づけるのか、言葉の粒度を高めていける手助けができれば良いなと考えている。