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英才教育

「なんでも早く始めて、特化した教育が必要だ」と、子どもたちに英才教育を授けたいという親心はとても良く理解できる。早く始めた分だけ、経験が積み重なる。周りよりも先をいけるので、本人のやる気もあがるし、目立てるなど色々なやるべき理由が考えられる。そして何よりも、子どもが活躍している姿を見るのはやはり嬉しいものだ。

英才教育について考えていると、反対の意見も入ってくる。「運動指導を行う幼稚園の園児の方が、運動指導をしない園の園児より、運動能力が低い」という調査もある。これは、指導を行わない方が、園児が自分自身の動機で積極的に遊びを通じて、様々な動きをすることに理由があるようだ。反対に運動指導を行う園では、サッカーなど特定の種目に対する偏った経験が理由の一つに挙げられている。調査の結果には驚くが、納得する部分もあるのではないだろうか。

アメリカの科学ジャーナリストも、早期教育・専門特化について、様々な研究をもとに、疑問を投げかけている。ゴルフのように、どのクラブで、どこを、どのような力で打ち、どこまで飛ばすかというような、正確性を競う種目であれば、早期に特化し、多く経験を積み、正確な動きができるようになることに優位性がある。しかし、サッカーのように、敵味方合わせて22人もいて、同じ状況がほとんど起こらない種目では、早期特化よりも、他の種目も経験し、経験の幅を広める方が大事なのではと問いかける。(参考:「RANGE」 デイビッド・エプスタイン)

確かに、サッカーでいうと、ボールを足で運ぶドリブルや、キックの正確性は、早期特化が役に立つかもしれない。しかし、ドリブルやキックよりももっと大きな目的である「試合に勝つ」、「良いプレーをする」の中には、その他にもとても沢山の要素がある。相手の位置を見て、どこにポジションを取れば良いのか、パスをするかドリブルをするかの判断もそうだし、ただ正確に蹴るだけでなく、キーパーの位置を見て、タイミングも考えながらシュートをしなければならない。サッカーという1種目だけでも、沢山の違う種類の技術が必要で、どの判断にも絶対的な答えは無い。

あらかじめ問いと答えが決められている学校のテストもある意味、早期教育が役に立つのだろう。早めに取り組み、パターンを学習し、正確に解けるようになる。しかし、学校が含まれる社会は、サッカーと同じく沢山の要素がある面白い場所だと思う。小学生の放課後は、パターンを学習し、正確性を身に付けるだけでなく、社会に出た時に、その面白さを感じられる経験の幅を作っていく場所であって欲しい。

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