アメリカMBA留学中に、組織行動論の授業だったと思うがInvisible Gorillaという有名な実験を見た。
白いシャツを着ている数人が何回バスケットボールをパスするかを数えるという実験だ。
パスの回数を数えていると動画にゴリラが出てきて胸を叩いていても多くの人は気づくことができない。
人間は意識した物しか見えないというのは凄い驚きだった。目に入っていても意識の中には入ってこない。目の前にあっても意識しないと存在しないのと同じ。
意識している人には色々な成長の機会が見えるが、意識しない人には見えない。
少年サッカーの指導をする機会があって子ども達を見ていたら、とても一生懸命パスとトラップの練習をやっている。でも上手くボールを止められているかというとまだ成長する余地がある。
私もずーっとサッカーをやっていたが、トラップはあまり上手くなかった。上手くなろうと思って沢山練習したはずなのだが結局納得いくほど上手くならなかった。
なぜだか良く分からないまま大人になったのだが、ある有名なサッカー指導者が「ボールを止めるというのはボールが回転しない状態」と言っていてはっとする。自分はそこまで意識してトラップしていなかったから、トラップの時にボールを回転しない状態にしようなんて思ってもみなかったし、プロの試合を観てもボールが回転しないように止めることがあるかどうかさえ気付いたことが無かった。それ以降プロ選手のトラップを見ると意図的に回転させてトラップでボールを運ぶことはあるが、その必要が無い時はボールを回転させずにピタッと止めていることが多いことに気付く。
沢山練習していた時期にこのことが見えていて意識すれば練習で改善することが出来ていたかもしれないが、意識していないのだからその水準に技術を上げることが出来なかったのだと気付いた。
成長につながるきっかけは恐らく身の周りに沢山ある。まずはそれを意識して見えるようにしなければならない。見えるようにさえなれば対策は考えられるので、子ども達が沢山の可能性に気付ける手伝いをしていきたい。
【おまけ】久しぶりにこの動画を見たら色々なバージョンが出ていた。2つとも全く気付くことが出来なかった。